千葉県隊友会は、東日本大震災(平成二十三年)および関東東北豪雨災害(平成27年)において、気仙沼市と常総市でそれぞれ災害復旧ボランティアを実施してきた。

 また、千葉県内においては、令和元年の台風15号・19号における災害時にあっては、県内被災会員の災害復旧活動に協力するとともに、県中央部に位置する八街支部は、市当局と連携し災害復旧作業にあたった。

 千葉県庁とは、平成30年に千葉県知事(当時の県知事 森田健作)と千葉県隊友会長(当時の会長 小渕信夫)との間で、「災害時における隊友会の協力に関する協定」を締結した。
 災害発生時、千葉県内に十一か所に配置している「地域防災備蓄倉庫」から備蓄物資の搬出を主体とした協定であり、毎年、千葉県の計画に基づき、指定された防災備蓄倉庫からの搬出訓練を担当支部が実施している。

 このように千葉県隊友会は、社会貢献の一環として防災活動に関して高い意識をもって活動してきた。今回は、県南東部に位置する夷隅支部における防災活動について紹介する。

 夷隅支部(高橋清三支部長)は、いすみ市・勝浦市・御宿町・大多喜町にまたがる支部であるが、会員数20名の県内最少会員数の支部である。

令和2年末および令和3年初頭の二度にわたり、いすみ市も養鶏場で発生した鳥インフルエンザにあっては、千葉県知事からの要請により、習志野駐屯地第1空挺団、下志津駐屯地高射学校および松戸駐屯地需品学校から災害派遣が実施された。県本部としては関係部隊を訪問し激励品をお届けした。

 この際、夷隅支部は、現地派遣部隊(指揮官 第1空挺団副団長三塚一佐)に対して、お茶などの激励品を届け、陣中見舞いを実施した。

 橋支部長は、自衛隊がいすみ市で活動する中で、派遣部隊から要望があった入浴について
対応ができていないなど、行政側の自衛隊の受け入れ態勢が不十分であると思われた。この経験を踏まえ、夷隅支部内の各自治体の首長に対し自衛隊の受け入れ態勢に関する要望書を提出した。

更に、平素から災害派遣を担当する部隊と行政側の連携が必要であることを踏まえ、分区長である高射学校長兼ねて下志津駐屯地司令(江頭豊一陸将補)を表敬して趣旨を説明した。
 江頭学校長から、是非お願いしたいとのお言葉をいただき、担当部隊長(高射教導隊第310高射中隊長 神野紘史三佐)を案内し、四コ市町長および防災担当者との会合の場を設定した。
各市町長から有意義な会合であったと感謝の言葉をいただいた。

 隊友会は、「自衛隊と国民とのかけ橋」として地域社会に貢献することは大変意義ある活動です。
この「かけ橋」は、これまで自衛隊を国民に理解してもらうための活動が多かったように思われる。
しかしながら、昨今の世論調査では自衛隊に対する良い印象をもっている国民は92%にも達していることから、今後は、自衛隊が活動しやすい環境つくりに尽力すること、つまり、憲法改正という国レベルでの施策から、前述したような地域と密着した活動を幅広く推し進めることが重要だと感じる。

千葉県隊友会事務局長 大根正雄


        小さな支部の地域に密着した防災活動から思うこと




































   
              下志津 高射学校長表敬                    いすみ市表敬