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JMASにおける私のボランテイア活動

千葉県隊友会白井支部
会員   藤本 四郎

 私は、平成19年初夏からJMAS本部の活動に加わり、実質的に平成19(2007)年11月頃から平成22(2010)年6月まで、JMAS本部の「監事候補」及び「監事」として、会計監査や業務監査の仕事をしました。
 正確に言えば、「監事」の役職は、「総会」承認事項であり、平成20年6月(総会)〜22年6月(総会)までの2年間です。なお私は、今でもJMAS正会員でおります。
 JMAS(ジェーマス)は、正式には、「認定特定非営利活動法人 日本地雷処理を支援する会」(英語でJapan Mine Action Service)と呼びますが、世界各地の紛争地域に残された地雷(対人・対戦車地雷や不発弾等)を除去してその地域の人々の被害を少なくし、その地域の復興を支援することを目的としており、平成14(西暦2002)年に元陸上自衛官OB有志によって設立されたNPO法人であり、現在もカンボジア、ラオス、アフガニスタン、パキスタン、アンゴラで地雷処理等の活動に取り組んでいます。詳しくは、JMASのホームページをご覧ください。
 
(JMASのURL; http://www.jmas-ngo.jp
 JMASとの関わりは、JMASが設立されて間もない頃で、私が陸上自衛隊を退職して会社に入った直後から、知己の先輩やこの活動に最初から参加した同期生等から声を掛けられ、最初は賛助会員、次いで正会員となり、さらに役員等の一員として名を連ねました。自衛官OBが、自衛隊で培った知識・技能・経験を活かし、困難な"国際ボランテイア活動"に挑戦するという"高い志"に共感を覚えたからです。
 JMAS監事としての仕事は、JMASの活動・運営等が適法・健全に、かつ円滑・適切になされているかどうかをしっかりとチェックすることであり、年1回の会計監査を実施するほか、月2回の定例会や理事会をはじめ各種会合等に随時出席して活動状況(業務阻害事項等)を把握し、また海外の地雷処理現場にも出向いて現場の安全や業務遂行状況を確認、現地スタッフ等の抱える悩みや問題点等を掌握して理事長等にアドバイスをすることでした。
 私は、会社勤めの傍ら、JMASの活動に参加していましたが、会社の温かいご理解もいただき、平成20(2008)年1月と同年11月の2回、カンボジアでの地雷処理現場を見ることができました。(略図及び写真1〜12参照) 
 第1回目のカンボジア訪問ですが、平成19年秋に地雷処理作業中に爆発事故があり、カンボジア人地雷処理員7名の尊い生命が犠牲になりましたが、その殉職者のための慰霊碑(塔)が完成し、平成20年1月に追悼式が実施されることになり、西元会長(JMAS初代会長)の随員の1人として参列しました。
 バッタンバン州タサエン・コンミューン(地区集落)での慰霊祭は厳粛かつ盛大に執り行われましたが、式典前後に、タサエン地区における人力による対人地雷処理の現場や、プノンペン周辺地域における不発弾の回収・処理現場等を初めて視察することができました。
 第2回目は、平成20年度のJMAS事業として、コマツ(株式会社小松製作所)のご協力を得て、JMASは初めて対人地雷除去機を導入し、バッタンバン州スダウ・コンミューン(地区集落)で対人地雷の機械処理(一部は人力による地雷処理を併用)を推進することになり、11月にその業務実施状況を確認(業務監査)することになり、國分副理事長(カンボジア等地域担当)とともに現地に赴きました。
 この時には、タサエン・コンミューンにおける地雷処理現場を再度訪れ、業務監査(現地スタッフからの意見聴取等)も実施しました。
 カンボジアでは、地雷処理作業を実施するのと並行して、地区の道路の補修や学校の建設、井戸掘り・ポンプ設置の事業を抱き合わせで実施(学校や井戸掘り等の経費は、特定の寄贈者のご厚意による)しており、コンミューンの総合的な復旧・開発活動を実施して、地域の人々から大いに感謝されておりました。
 私は、ボランテイア活動について、JMASの活動もそうですが、各人が"無償で"しかも"自分の意思で自発的に"参加するものである以上、自分がしたいこと、できることを、あまり無理しないでやることが大切だと思います。
 JMASのような国際ボランテイア活動では、海外の地雷処理現場で活躍する地雷(不発弾)処理作業従事者こそが、最もハイライトを浴びる主役プレーヤーですが、この主役プレーヤー(地雷処理作業従事者)を支える本部役員や各職員、そして多くの寄付・寄贈者など「脇役」や「裏方」の支えがあってこそ、初めて成り立つものだと思います。
 私の実施した事は、当に国際ボランテイア活動の「脇役」や「裏方」の仕事でした。
 JMASの場合、会長、理事長、理事、監事など役員等は、全員ボランテイアであり、例えば現地慰霊祭への出席の場合、交通費など業務のため必要最小限の経費は出していただきましたが、それ以外は基本的に"無償(タダ働き)"です。
 それでも、自己満足かも知れませんが、現地を訪れた際に、その地区のカンボジアの人々の笑顔や感謝の気持ちを頂いた時には、「脇役」や「裏方」であっても、この活動の意義を十分に実感できました。
 またJMASの活動に加わった者同士が、折に触れて酌み交わす酒は格別で、本当に良い思い出になっております。
 同じ志を持った者同士のお互いの信頼関係が、ボランテイア活動の原動力の1つではないかと思っています。
 最後に、JMASは、元陸上自衛官が中心になって設立されたNPO法人ですが、最近では海上自衛隊や航空自衛隊の部隊等や個人からも、温かいご支援やご寄付等をいただいております。
 とは言え、実際にJMASの活動にボランテイア参加していただける方がまだまだ少ないのが実情です。
 千葉県隊友の皆さんは、それぞれ素晴らしいご経験・ご見識を持っておられますので、JMASを含め、自分のできる範囲で、ボランテイア活動に参加して良い思い出をつくられたらどうでしょうか。
                                                  (H23.6.28記)




  写真1 CMAC(カンボジア地雷処理機関)殉職者のための慰霊碑(塔) 
                    ― 現地のCMAC隊員とともに ―




写真2 JMASとCMAC合同の追悼式
                    ― 西元会長の追悼の言葉 ―




写真3 地雷を探査するCMAC(カンボジア地雷処理機関)の地雷処理員
                   ― カンボジア人女性隊員が活躍 ―




写真4 発見された対人地雷   
                  ― 中国製の対人地雷(72A) ―




写真5 発見された地雷をそのまま爆破処理した瞬間



写真6 発見・回収された不発弾 
                ― 住民が発見したものをJMAS隊員が回収 ―




写真7 爆破処理する前の不発弾   
                       ― 中国製の迫撃砲弾 ―



写真8 回収された不発弾が爆破処理された瞬間(300m離れた場所から撮影)


写真9 地雷(不発弾)に関する住民への危険回避活動


写真10 対人地雷除去機による地雷除去作業 
          ― コマツから無償貸与受けした対人地雷除去機が能力発揮 ―


写真11 人力による地雷処理作業で回収された各種の地雷や対人障害物等




写真13 地域住民のために掘削・寄贈された井戸
          ― 子供達が水遊びをして喜んでいる姿が印象的だった ―



写真14 JMASによって拡幅・補修された道路
        ― 改修作業途中の道路、この後側溝などの工事を実施予定 ―