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おりおりの

晩秋の紅葉を楽しむ

 平 標 山(たいらっぴょうやま)

 十月中旬、谷川連峰西端の山、平標山(一九八四b)・仙ノ倉山(二〇二六b)に出かけた。どちらも、谷川岳のオドロオドロしい岩壁とは様相を異にしてのびやかな草原の山であるが、谷川連峰の最高峰ではある。

 前夜は越後湯沢駅前に泊り、浅貝行きの一番バスで七時、平標登山口に着いた。早速、岩魚沢林道を歩き始める。別荘地を抜けた頃から、色鮮やかな紅葉街道となる。これぞ日本の秋といった感じ。

 八時、平元新道登山口。ここから沢を離れてブナ林の中の急登が始まる。それでも樹林帯の中、時折ハッと目を惹くような紅葉に出会すのが嬉しい。

 九時半、平標山の家に着いて一休み。ここから草原の中の木段登り。殆ど頂上まで、切れ目なく木段が続いているから驚く。時折、真紅のドーダンツツジの群生が目に鮮やかだった。

 十時半、平標山頂。残念ながらガスで眺望ゼロ。そのまま稜線を東に辿り仙ノ倉山に向かう。ちょっとした起伏が連続するだけの気持ちいい草原漫歩である。あちこちでナナカマドの実が真っ赤に色づいていた。十一時半、仙ノ倉山頂。立派な標定盤があるが、ガスで遠望が効かず残念。

 十二時半、平標山に戻り、稜線路を西に松手山経由で下山することにした。緩やかな起伏はあるが、ササ原の散歩道。ややガスってはいるが、周囲の山々の山腹を彩る紅葉は、正に絵画の中の世界だった。途中、大きなザレ場を木段頼りに下り、十三半松手山。ところが、それからが大変。樹林帯の中の歩き難い道の標高差約六〇〇bを一気に下る。膝がガクガクになって、十五時半元の平標登山口バス停に帰り着いた。

 十六時半、バスは越後湯沢駅到着。この駅は、駅ビルの中に風呂があるのが嬉しい。名付けて「酒風呂ぼんじゅの湯」。風呂を上がると、目の前に地酒の販売所が軒を連ねている。なかなか良く出来た駅ビルである。

(「隊友」〇九年十月号 転載)

作者プロフィール

 柚木 文夫氏

千葉県隊友会会員
習志野支部長
桧町陸幕
平成2年退官
1958年防衛大学卒
山岳部部長歴任