会員のページへ

奥久慈の大岩峰

 久慈男体山

 
 三月中旬、奥久慈の名峰・男体山(六五四㍍)に出かけた。有名な日光男体山と区別するため、この山は久慈男体山と呼称される。

 ポカポカ陽気
西金駅を出発。のどかな山里風景を楽しみながら車道をテクテク歩き十一時四十分、男体山登山口の大円地に着いた。ここから見上げる男体山は、取り付く島もない城砦のような大岩峰である。

 集落の裏手で一般ルートを右に分け、岩壁直登ルートを進む。杉林の中のジグザグ登りが間もなく雑木の中の直登に変わり、所々に鎖場が現れ、十二時二十分には狭いテラス状の展望点に出て一息入れる。後は岩場の連続となるが、至る所に鎖がしっかり固定され、南面のせいか岩もよく乾いており安心な登攀が楽しめる。

 十三時、男体山頂上。男体神社奥社の祠を廻る展望テラスからは、奥久慈の山々が畳々と連なり、彼方には那須や日光の連山が遠くかすんで見えた。頂上での昼食休憩を三〇分。

 帰りは、月居山経由で袋田ノ滝に下った。月居山に向かう縦走路は、若干の上り下りが次々と連なり、樹林の中で展望も殆どない。時々、木の間から久慈川と、それに沿う集落が見えるので気が紛れる。十五時三十五分第二展望台。十五時五十分第一展望台と過ぎ、十六時三十分月居山到着。月居城址の謂われを記した立派な石碑があり、きれいなベンチもあって一休みする。

 月居山から若干下り月居観音の古いお堂と新しいお堂に詣で、長い石段を登ってようやく前山を越えると、今度は袋田ノ滝に向かっての長い長い石段下りが待っていた。最後は膝がガクガクになり、手すりにすがってやっと足を運ぶ体たらく。

滝を正面に見上げる観瀑台に立ち寄った後は、客引きで喧しい土産物屋街を抜け、疲れた足を引きずって車道をトボトボと歩き、待望の袋田温泉の宿到着はすっかり日も暮れた十八時となった。

作者プロフィール

 柚木 文夫氏

千葉県隊友会会員
習志野支部長
桧町陸幕
平成2年退官
1958年防衛大学卒
元防大山岳部監督
現自衛隊山岳連盟会長

おりおりの  第21回


「隊友」〇五年三月号

久慈男体山

男体山頂

月居城跡

袋田の滝