浅 間 山
浅間山の展望台
       鼻 曲 山

 

 11月初めの一日、西上州・鼻曲山(1654㍍)に出かけた。鼻曲山は、山頂の姿が巨人の鼻のひん曲がった形に似ていることがその名のゆえんである。

 軽井沢駅からバスで登山口の長日向に向かう。途中、軽井沢の街路樹の紅葉は今が緋色の真っ盛りだった。

 10時45分、長日向出発。人気のない別荘地の中を10分程歩いた後は、カラマツ林の中の単調な登りが続く。11時20分、カラマツ林が終わった小平地で一休み。振り返ると、煙を吐く浅間山の堂々とした姿が視界を圧倒して見えた。

 後は若干傾斜が増した雑木の中をひたすら登りちょうど12時、鼻曲山頂(小天狗)に着いて昼食休憩をとった。正面にそびえる浅間山、左には八ヶ岳の峰々、南には妙義の山波、東に榛名山、北方はるかに谷川連峰の山々が霞んで見えるなど、眺望が最高のご馳走だった。

 12時45分、小天狗頂上を発って、帰路は大天狗、留夫山、一ノ字山を経て、旧碓氷峠までのハイキングとしゃれこんだ。

 大天狗からの急斜面を慎重に下った後は、若干の上り下りはあるが坦々とした尾根歩きハイキングコースである。葉がすっかり落ちて明るい雑木林の中、散り敷いた落ち葉をガサゴソ踏み鳴らしつつ、時折の取り留めもないオシャベリに興じながらの散策は楽しい。

 午後3時、旧中山道の碓氷峠到着。ほの暗い林の中、小さな道標があるだけの静かな小広場のたたずまいは、なかなか風情がある。往時の旅人たちが、そこここの木の根方に座り込んで一息入れている姿が目に浮かぶような心地がした。

 峠から2~3分歩いた所にバス停終点の茶店があって、昔ながらの峠の力餅を食べさせてくれる。店先に座りこんで、缶ビールを飲みながらアンコ餅をつまむのも、なかなか乙なものがあった。

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おりおりの  第27回

                

作者プロフィール

 柚木 文夫氏

千葉県隊友会会員
習志野支部長
桧町陸幕
平成2年退官
1958年防衛大学卒
元防大山岳部監督
現自衛隊山岳連盟会長

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