健脚向きの駅前登山

 高 柄 山

 十二月中旬、中央線沿線の高柄山(七三三b)に出かけた。下山後の一浴に鶴鉱泉があることも魅力の山である。
 
中央線・四方津駅に下車したのが七時半。川合集落の中の急な舗装道路をボツボツと登る。
 八時十分、千足分岐で舗装が尽き、山道になる。葉が落ちて明るい雑木林の中、ひたすら急登が続く。
 路面には時々凍った雪があるが気にする程のこともない。九時五十分、新大地峠。目指す高柄山が大きく迫って見えた。

 しかしここからが大変。滑り台のような急下降が一〇〇b近く。木の枝にすがってやっと下りる。
 その後、いくつかのピークを越えた後、更に大降りしてやっと千足峠。その先もスゴい急傾斜の登り降りがいくつかあって、クタビレ果てて十時四十分、高柄山頂に到着した。

 山頂で一時間の大休止。風もなく心地良い日だまりで、目の前に連なる丹沢の山々や振り返っての高尾・陣馬・奥多摩の山々を眺めながら昼食をとった。

 下山は新矢ノ根峠経由で上野原駅に下る。山頂からの降りが又、スゴい急傾斜。ダブルストックの有難味を痛感した。

 十二時十五分、新矢ノ根峠。鉄骨・鉄板造りのアズマ屋がある。ゴルフ場造成業者が罪滅ぼしに作ったものらしいが無粋である。

 ここから先は、ゴルフ場造成のために付け替えたルートとのことで、地形に逆らって不自然に付けた道だけに、やたらに上り下りが多い上に、あっち曲がりこっち曲がりで、何とクタビレること。
 最後に、鶴島御前山の肩まで大汗かいて直登させられた後に再度急下降させられ、ゴルフ場から流れ出る汚水の沢を渡って、十三時四十分やっと林道に出た。

 林道をテクテク歩いて一〇分程で待望の鶴鉱泉に着いたが、何と閉まっていた。平日の立ち寄り湯は事前の予約が必要とのこと。残念でした。上野原駅到着は十四時二十分。

おりおりの

一一七号(「隊友」〇九年十二月号 転載)
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作者プロフィール

 柚木 文夫氏

千葉県隊友会会員
習志野支部長
桧町陸幕
平成2年退官
1958年防衛大学卒
元防大山岳部監督
現自衛隊山岳連盟会長