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おりおりの  第39回

                

             紅葉の瑞牆山

 11月上旬、奥秩父・瑞牆山(2230㍍)に出かけた。
 
 瑞牆山は、ゆったりした山容の多い奥秩父の山々には珍しい岩峰を連ねた山である。前夜の宿は、いつもの金山平・ランプの宿有井館にとる。
 
 いつに変わらぬオバアチャンの笑顔が嬉しい。翌朝は瑞牆山荘まで車で送ってもらった。

 
 瑞牆山荘を6時半出発。シラカバ林の登り1時間で富士見平小屋着。ここから薄暗い樹林帯の中の登り。時折、木の間越しに峨々たる瑞牆山の岩峰群が見える。岩峰を連ねた山である。

 
 天鳥川を飛び石伝いに渡った辺りから、道は岩がゴロゴロした急登になる。所々で鉄バシゴを登り、岩壁を巻き、岩の間をすり抜ける。
 
 緊張の中にも時折、色鮮やかな紅葉が目にしみ心が和む。
 
 行く手を遮る大岩壁の右をからみ、左手頭上に大ヤスリ岩を仰ぎながら最後の一登りで鞍部に飛び出した。
 
 ここから北に回り込んで、シャクナゲの尾根道をたどると間もなく瑞牆山頂である。頂上到着9時半。

 
 狭い岩峰の頂上からの展望は雄大である。金峰山が大きく迫って見える。好天に恵まれ、奥秩父の山々はもとより、富士山、御坂、南アルプス、八ヶ岳、浅間山などの360度の展望に、しばし時の経つのも忘れた。

 
 下りは同じコースをたどって富士見平に12時に到着し、小屋前の芝生に座り込んでゆっくり弁当を広げた。

 
 帰りは紅葉を眺めながら、増富温泉まで歩いて下ることにした。有井館を過ぎて増富温泉に至る本谷川の渓谷の紅葉は今が真っ盛りである。
 
 渓谷を埋める燃えるような緋色のトンネルの美しさは、息をのむ思いである。散策に秋を堪能し、増富温泉到着が午後3時。
 
 ゆっくり温泉に浸かっての反省会が始まった。

作者プロフィール

 柚木 文夫氏

千葉県隊友会会員
習志野支部長
桧町陸幕
平成2年退官
1958年防衛大学卒
元防大山岳部監督
現自衛隊山岳連盟会長

金峰山からの瑞牆(みずがき)山
本谷川渓谷の紅葉
瑞牆山頂からの八ヶ岳
芝生広場からの瑞牆山
(右端が大ヤスリ岩)
 
紅葉街道