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おりおりの  第41回

                
御殿山山頂からの伊予ヶ岳
・富山・東京湾
キレット付近からの御殿山
 

作者プロフィール

 柚木 文夫氏

千葉県隊友会会員
習志野支部長
桧町陸幕
平成2年退官
1958年防衛大学卒
元防大山岳部監督
現自衛隊山岳連盟会長


       房総 御殿山 「日だまりの山歩き」

 

  1月中旬、房総・御殿山(364㍍)に出かけた。御殿山は、山頂に乳首のような突起があり、どこから見てもそれと分かる。実はこの突起、マテバシイの樹群である。

 岩井駅からの町営バスを8時半、登山口の山田で下車。舗装された農道を登り浄水場を過ぎると、シャレた手すりなどを設けた遊歩道になる。ヒノキ林の中ののどかな登り。大黒様の祠を過ぎた頃から周囲は、この山特有の照葉樹林に変わる。最後に山頂への木段を登って9時45分、御殿山山頂に到着した。

 山頂のマテバシイの樹群の下のアズマヤで一休み。風もなく暖かな日差し、最高の遊山日和である。西には東京湾の向こうに富士山が浮かぶ。
  南は重畳とした南房総の山並みの果てに太平洋が光る。足下からは今日これからたどる鷹取山、宝筺塔山、大日山の縦列が延びる。

 10時15分山頂出発、ツバキのトンネルの尾根道を急下降する。10時40分、樹林の中に倒れかけた石塔が一つあるだけの鷹取山頂。11時半には宝筺塔山頂、静かな樹林の中にコケ蒸した宝筺印塔がひっそりとたたずむ。
 途中、キレットを越えた辺りで振り返ると、乳首がポッチリあらわな御殿山がくっきりと見えた。

 宝筺塔山から大日山に向かう途中に海軍碑がある。戦時中、近くの山中に墜落して亡くなった海軍戦闘機の搭乗員を地元の人たちが弔った慰霊碑である。手持ちの菓子などを供え、しばし頭を垂れて冥福を祈った。

 12時大日山到着。広く明るい山頂は、大日如来の石祠を中心にきれいに整備された園地となっている。桜やスイセンの植生も見事。展望は御殿山に劣らずと言いたいが、伊豆の山々や富士山の姿はもうモヤっていた。

 12時半出発で途中、坊滝などを見物しながら滝田集落に下り、バスで館山駅到着が15時半。上り電車を待つ間、名物の鯨タレで熱カンを頂戴した。
 

坊滝
 
大日山頂からの鷹取山-御殿山
御殿山山頂のマテバシイ