金時山ー箱根の冬景色

 

  2月中旬、箱根・金時山(1213㍍)に出かけた。今回は金時神社から登り、夕日ノ滝に下りるコースを取った。

  朝9時15分、小田原からのバスを仙石で降り、金時神社入口まで15分程歩く。凍結したツルツルの路肩を、恐る恐る及び腰の足運びが情けない。

 神社入口から更に5分程も雪道を登ると金時神社。正面鳥居から仰ぐ拝殿の真後ろに、金時山が背景となって鎮座まします。百円玉1個のお賽銭をあげて、何やかやとお祈りすることの何と多いこと。

 神社の脇からヒノキ林の中の緩い登り。積雪は10㌢程。10時20分、二つ割れした巨石の金時の宿り石。これを左に巻くとジグザグ登りの急登が始まる。踏み跡がテロンテロンに凍り、早々にアイゼンを着けた。

 11時、箱根外輪山の縦走路に飛び出した。振り返ると仙石原のゴルフ場群と芦ノ湖が広がる大カルデラの明るい景観が目を奪う。日差しが暖かい。主稜線を左に金時山に向かう。岩場の急登が続くが、岩と岩の間が雪解けで泥濘化しており気色悪い。泥にまみれて11時半、ようやく金時山山頂に到着した。

 山頂には茶店が2軒あり奥の方がその名も名高い金時茶屋である。昔の金時娘(失礼?)の小宮山さんのいつもながらの笑顔が嬉しかった。甘酒など注文し、オシャベリを楽しみながらの昼食休憩。

 12時半下山開始。夕日ノ滝に向かう北斜面ルートは積雪30~40㌢。トレースはしっかりしているが踏み固められて恐ろしい程に蒼氷化していた。頂上直下の急斜面をアイゼンを効かせながら一歩一歩慎重に下る。所々に鉄梯子が露出して使える時はさすがにホッとする。13時頃、やっと急下降が終わり雪も腐ってきたので、足柄峠分岐付近まで来てアイゼンを脱いだ。後は雑木林の中を道筋に従って気楽にどんどん下り、途中夕日ノ滝を見物したりして午後3時、地蔵堂発のバスに辛くも間に合った。

 

会員のページへ


おりおりの  第42回

                
明神からの金時山
金時神社と金時山
 

作者プロフィール

 柚木 文夫氏

千葉県隊友会会員
習志野支部長
桧町陸幕
平成2年退官
1958年防衛大学卒
元防大山岳部監督
現自衛隊山岳連盟会長

金時の宿り石
    
夕日の滝
       
金時山山頂