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おりおりの  第7回

(「隊友一〇年二月号)転載

作者プロフィール

 柚木 文夫氏

千葉県隊友会会員
習志野支部長
桧町陸幕
平成2年退官
1958年防衛大学卒
元防大山岳部監督
現自衛隊山岳連盟会長

手近のアルペン体験

宇都宮アルプス

 
 二月下旬、地元の知人の案内で宇都宮アルプス(五六二㍍)に出かけた。宇都宮北部の榛名山・男山・本山・飯盛山・高館山・黒戸山・兜山の連山が、いわゆる宇都宮アルプスである。

 
 前夜は宇都宮泊。宇都宮ギョーザをサカナに痛飲した。翌朝九時十五分、宇都宮からのバスを一里塚で下車、二日酔いの頭を抱えて登山口の子どもの森公園まで歩いた。子どもの森は宇都宮市制百周年記念公園とかのなかなか立派な施設である。公園最上部の登山口到着九時四十五分。

 
 最初は杉林の中のゆったりした登り。八合目付近から踏み跡に凍雪が出てくるが気にする程でもない。十時半主稜線に顔を出し、先ず榛名山を二〇分で往復した。次いで尾根筋に沿い幾つか小起伏を過ぎると男山。男山から若干下った後、岩場を一登りして十一時半本山山頂に到着した。ここがこの連山の最高点。若干の展望タイムの後、飯盛山との鞍部まで下ると丁度十二時。日だまりを楽しみながら昼食休憩をとった。

 
 次に登る飯盛山がここからは見上げるばかりにそびえウンザリさせられる。しかしこの連山は、どのピークも山頂付近が狭い岩場状でアルペンムードが楽しめるのが嬉しい。宇都宮アルプスとはよく言ったものである。

 
 十二時四十分、重い腰を上げて出発。一汗かいて十三時飯盛山頂。この頂上は雑木に囲まれ残念ながら展望はゼロ。続く頂上直下の降りがかなり長いザレ場の急傾斜。垂らしてあるロープを団体さんが連なって占領しており、順番待ちに随分と時間を取らされた。

 
 十三時半、やっと急降下が終わり林道横断。後はなだらかな登りで十四時高館山。平坦で広い山頂は見晴らし絶佳だった。朝からたどって来た山々が手に取るように見えた。はるかに表日光の連山も光り輝いて眺められた。

 
 最後は黒戸山、兜山と過ぎて山を下り、中徳次郎バス停到着が十五時半となった。