著者紹介 田尻 洋介氏
千葉県隊友会
市川支部会員
熊本県出身
1962年防衛大学校入学
1967年任官
1999年退官 空自(第3補給処)
東芝電波プロダクツ株式会社を退社した後
2006年から社会保険労務士・行政書士業務に専念

千葉県市川市富浜2-15-1  A-310
田尻社会保険労務士・行政書士事務所
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身近な社会保険のQ&A   5


  自衛官定年後の会社勤めを終わり退職した後の「年金受給及び
 健康保険等」の生活設計の基本的な事項について、約10数回
 にわたり専門家が丁寧にアドバイしてもらいます。



在職老齢年金の仕組み

Q  私は、昭和25年10月生まれの男性です。自衛隊を定年退職し、会社に入り、今年60歳になります。老齢厚生 (退職共済)年金をもうことになりますが、働くと、年金が減額になると聞きました。その仕組みについて教えてください。

A  在職しながら、年金を貰うと、給料(賞与も含む)と年金額の総額がある一定額以上の場合、年金が減額する ようになっています。それを在職年金制度といいます。共済年金についても、同様に減額する仕組みがあります。


Q-1  在職老齢年金は、賞与も含めて計算しますか?

A-1  在職老齢年金は、標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額を合計したもので計算しますこの額のことを総報酬月額相当額といいます。

Q-2 在職老齢年金の対象となる月はいつですか?

A-2  老齢厚生(退職共済)年金の受給権者が被保険者である日が属する月です。ただし、被保険者の資格を取得した月 は除かれますが、被保険者の資格を喪失した月は含まれます。又、被保険者の資格を取得した月に資格を喪失したときは、その月は除かれます。

Q-3  在職老齢年金の計算方法はどうなっていますか?

A-3  年金停止額は、報酬比例部分と定額部分をあわせた額(以下これを基本月額と言います)を支給停止額の計算対象とします。(注:基本月額には加給年金額は含まれません。) 基本月額と総報酬月額相当額の合計額により、60歳〜65歳未満と65歳以上では計算方法が異なり、次のように計算し、在職老齢年金(月額)の支給額が決定されます。

     1、65歳未満の場合
      
      @ 基本月額と総報酬月額相当額の合計額が
      28万円以下の時年金額の支給停止はありません。(全額支給)
 
     A 基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円超の時


総報酬月額相当額 支給額(月額)
47万円以下 基本月額−(総報酬月額相当額+基本額−28万円)×1/2
47万円超

基本月額−{(47万円+基本月額−28万円)×1/2(総報酬月額相当額−47万円)

     2、65歳以上の場合

 支給額(月額)=基本月額−{総報酬月額相当額+基本月額(老齢厚生年金額)−47万円}×1/2

Q-4 退職共済年金の、在職(厚生年金の被保険者)による年金額の一部支給停止の仕組みはどのように計算されま  すか?
A-4 60歳以上で、退職共済年金を受けている人が、再就職して、厚生年金保険の被保険者になったときは、その再就職   している間、ボーナスも含めて賃金に応じて、年金額の一部が支給停止になります。計算式は、原則、厚生年金の     65歳以上の場合の計算式と一緒です。

     支給額(月額)=基本月額(退職共済年金)−(総収入月額相当額+基本月額−47万円)×1/2

     注:退職共済年金の基本月額には、加給年金額と職域加算額は含まれません。   

Q-5 加給年金額の取り扱いはどうなりますか?

A-5 年金の本体部分(報酬比例部分及び定額部分・老齢厚生年金・退職共済年金)が一部でも受給出来る場合は、加給   年金額は全額受給できます。一方、年金の本体部分が全額支給停止の場合は加給年金額も支給停止になります。

Q-6 (例題) 

次のような場合、退職共済年金の支給額はいくらになりますか?

    基本月額(退職共済年金)   100,000円

    標準報酬月額         250,000円

    賞与(過去1年分)       2,040,000円  (月額170,000円)

A-6  退職共済年金の支給額計算は次の通りです。

   支給額(月額)= 100,000円−(250,000円+170,000円+100,000円−470,000円)×1/2  =75,000円

   注:上記75,000円に「職域加算額+加給年金額」が加算されます。

                             平成22年6月8日 記