著者紹介 田尻 洋介氏 |
千葉県隊友会 市川支部会員 熊本県出身 1962年防衛大学校入学 1967年任官 1999年退官 空自(第3補給処) 東芝電波プロダクツ株式会社を退社した後 2006年から社会保険労務士・行政書士業務に専念 千葉県市川市富浜2-15-1 A-310 田尻社会保険労務士・行政書士事務所 TEL&FAX 047-396-5048 y-tajiri@flamenco.plala.or.jp URL http://www10.plala.or.jp/ta12/ |
身近な社会保険のQ&A 第8回 |
自衛官定年後の会社勤めを終わり退職した後の「年金受給及び
健康保険等」の生活設計の基本的な事項について、約10数回
にわたり専門家が丁寧にアドバイしてもらいます。
遺族年金について
Q-1 私の夫は自衛隊を定年退職後、会社に入り、7年後に会社を辞め、72歳で死亡しました。遺族年金は何がも らえますか?
私は現在70歳で、主として専業主婦でしたが厚生年金と国民年金をもらっています。 私の子供は、2人いますが 、いずれも20歳以上です。
A-1 ご主人が亡くなられたときは、配偶者に対して、遺族共済年金と遺族厚生年金の二つが支給されます。国家公 務員共済組合連合会と年金事務所に遺族年金の請求をする必要があります。
Q-2 遺族年金の請求手続きはどのようにしたらいいか、教えてください。
A-2 遺族年金は遺族共済年金と遺族厚生年金を受けることになります。
別々に請求します。その手順の一例を別紙に示します。
Q-3 遺族年金額はいくらになりますか?
A-3 遺族厚生年金額は夫の厚生年金の3/4の額になります。
次の@〜Bの計算により一番年金額の多いものを選択することになります。
@老齢厚生年金>遺族厚生年金 A老厚<遺厚 B老厚<遺厚×2/3+老厚×1/2
支給停止 | B (支給額) |
B(支給額) |
|||||
A老齢厚生年金 |
↓ |
A老齢厚生年金 |
遺族厚生年金 |
A老齢厚生年金 |
遺族厚生×2/3 |
||
遺族厚生年金 |
|||||||
@老齢基礎年金 | @老齢基礎年金 | @老齢基礎年金 |
支給額=@+A 支給額=@+A+B 支給額=@+A+B
(妻の基礎年金+妻の厚生年金) (同左+遺族厚生年金−妻の厚生年金) (同左)
注:常に妻の厚生年金が遺族厚生年金の支給に先立ち支給され、それに加えて、遺族厚生年金との差額が支給されます。
遺族共済年金の支給の仕組みも同じです。(職域加算も同じ様に支給されます。)
Q-4 その他遺族年金を受給するに当たり、注意すべき事項はなんですか?
A-4 次の事項があります。
@60歳以上〜65歳未満の間は選択になります。
妻が60歳から65歳未満の時、年上の夫が死亡したときは自分の年金と遺族年金の
どちらかの選択になります。(例えば妻の特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金)
A転給制度について
夫が死亡したとき、夫によって生計を維持されていた遺族の条件がある遺族が複数いた場合、第1順位の遺族が受給しますが、第1順位が死亡した場合、第2順位の遺族が遺族年金を受給できるようになります。これを転給といい、共済年金の独自の制度です。(例えば妻が死亡したとき子がいないときは、妻の父母が受給することになります。)
B短期要件と長期要件
・短期要件とは
短期要件とは原則被保険者加入期間中(加入期間が300ヶ月未満)に死亡したときに短期要件として取り扱われます。年金額は加入期間300ヶ月として計算されます。
・長期要件とは
長期要件とは原則退職共済年金の受給資格を満たしている人が死亡したときは長期要件として取り扱われます。
・短期要件と長期要件を持った方の扱い
短期要件(厚生年金40ヶ月加入中)と長期要件(遺族共済年金400ヶ月)にも該当さ
している方(例えば在職老齢年金の受給権者が死亡したような場合)が死亡したとき
は、どちらかの選択を申し出ない限り、短期要件として遺族年金が計算されます。
必ず多い方を選択することが必要です。
・長期要件(遺族厚生年金40ヶ月)と長期要件(遺族共済年金400ヶ月)に該当される方は併給されます。
C妻に支給される中高齢の寡婦加算
次の要件に基づき加算されます。
・夫が死亡したとき妻が40歳以上65歳未満であること。
・死亡した夫の被保険者期間が20年間以上あること(例えば厚生年金7年間加入、共済年金が40年加入のときは共済年金から寡婦加算は出ます。)
・金額は594,200円です。
D妻に支給される経過的寡婦加算
・妻が65歳以上遺族共済年金を受給するときは中高齢寡婦加算が経過的寡婦加算に変わり受給します。
・金額は妻の生年月日により決められています。
平成22年10月15日 記
別紙